私たちが普段から口にしている「鰹(カツオ)」には、春に獲れる初鰹(初ガツオ)と秋に獲れる戻り鰹(トロカツオ)という風に、収穫される時期によって2種類のタイプが存在しているのはご存知でしょうか?

両者ともその名の通り、春先に始めて収穫されるもの、秋になり日本海近郊まで戻ってくるものであり、収穫の時期こそ違うものの、品種自体は全く同じものになります。

しかし、秋に獲れる戻り鰹がトロカツオと呼ばれるように、この時期に収穫される鰹は日本海で餌を沢山食べて丸々と太っているため、それだけ沢山の栄養を蓄えています。

今回はそんな栄養満点な戻り鰹が持つ素晴らしい栄養素や、食べると嬉しい健康上のメリットについてご紹介させていただきたいと思います。

鰹に含まれる栄養素とは?

他の魚同様、たんぱく質を豊富に含むのはもちろんですが、初鰹に比べても下記の栄養素は格段に多くなっていると言えるでしょう。特にEPAやDHAの含有量は魚の中でもトップクラスであり、カツオは「泳ぐサプリメント」と言っても過言ではありません。

  • EPA(エイコサペンタエン酸)
    エイコサペンタエン酸(EPA)は、体内で合成されない必須脂肪酸の一つであり、動脈硬化を防ぎ、抗血栓、コレステロールの低下などの作用による脳血栓の予防や改善に効果があるほか、中性脂肪の低下や、血小板凝集の抑制に効果があるとして注目されています。
  • DHA(ドコサヘキサエン酸)
    ドコサヘキサエン酸(DHA)も、必須脂肪酸の一つで、ヒトはDHAを食べ物から摂る必要があります。脳細胞の活性化や目の網膜活性化また、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きもあります。脳神経の活性化は、記憶力の向上などの効果もあります。
  • ビタミンA
    油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一つで、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルエステルなどのレチノイド類をまとめた総称です。発育の促進、目の健康を保ったり、皮膚を正常に保つ働きがあります。また、暗所での目の慣れに寄与していたり(視覚の暗順応)、鼻やのどの粘膜に働いて細菌から身体を守るなどの役割があります。
  • ビタミンD
    脂溶性ビタミンの一つであり、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ役割やカルシウムの吸収を助けたり、免疫力を高めてくれるなど、丈夫な体作りには欠かせない栄養素です。紫外線を浴びることにより体内で合成できる唯一のビタミンでもあるため、「太陽のビタミン」と呼ばれたりもします。
  • ビタミンB₁₂
    水溶性ビタミンであり、主な働きとしては、たんぱく質や核酸、脂肪酸などの生合成・調節・補酵素として様々な代謝に関わるだけでなく、赤血球の成熟にも関与しており葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくります。赤血球の生成に関わることから、ビタミン₁₂は「赤いビタミン」や「造血のビタミン」と呼ばれたりもします。
  • 鉄分
    必須ミネラルの一つで微量ミネラルに分類され、赤血球のヘモグロビンの構成成分として全身に酸素を運搬する働きを持つ必要不可欠なミネラルです。食品中に含まれる鉄は、肉や魚などの動物性食品に多く含まれている「ヘム鉄」、植物性食品に多く含まれるヘム鉄以外の「非ヘム鉄(無機鉄)」とがあります。

カツオのおすすめの食べ方

新鮮なうちに食べることはもちろん美味しく食べるうえで欠かせないことではありますが、戻り鰹の1番の特徴は何と言っても脂の量です。トロカツオと呼ばれる程ですから、マグロのトロにも匹敵する程の口当たりの良さが評判です。

たたきはもちろん、分厚く切って刺身で食べると尚美味しく召し上がって頂けるでしょう。

また、生食で食べることで鰹に含まれる栄養素を余すことなく取り入れることが出来るため、まさに一石二鳥と言えます。

おわりに

今回は秋の味覚に代表される旬の食材、「戻り鰹(トロカツオ)」についてご紹介させて頂きました。

お値段もお手頃なうえに栄養満点な鰹、美味しく食べれて健康維持にも役立つ素晴らしい食材ですので、今年の秋は是非とも一度は召し上がってみてはいかがでしょうか?