〇カリウムの基本情報

カリウム」とは、ナトリウムと拮抗した関係にあるミネラルの一種(ブラザーイオン)であり、人の身体の中にはおよそ120g~160g、多い方では200gほど存在し、その内の約2%が細胞外、残りの約98%は細胞内に存在しています。主にリン酸塩、タンパク結合物としてすべての細胞の中に存在しています。

我々人間の身体は約60兆個の細胞から出来ておりますが、そのほぼ全ての細胞の内と外にカリウムとナトリウム、カルシウムとマグネシウムが一定の割合で存在します。

これこそが「ブラザーイオン」と呼ばれる所以ですね。

余談ではありますが、カルシウムとマグネシウムもブラザーイオンと呼ばれるペアで互いに互いの働きを助け合っています。

体内に摂取されたカリウムは小腸で吸収された後全身の細胞・組織に運ばれます。そのほとんどが腎臓によって排泄されますが、腎臓ではカリウムの再吸収も行われており、その調節により血中のカリウムの濃度が正常に保たれています。これは、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して尿中への排泄を促し血圧を正常に保つ(血圧を下げる)役割でもあります。

また、カリウムはナトリウムと同じく細胞内の浸透圧を正常に保つ働きがあるほか、塩基平衡の維持や神経刺激を正常に伝達したり、筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など我々人間が生命活動を行う上で欠かすことの出来ない働きを幾つも担っています。

〇カリウムの欠乏症のリスク

体内に吸収されたカリウムが多くなれば、カリウムの濃度を一定に保つために余った分は汗や尿として体外に排出されますが、その内訳は9割ほどが尿、残りの1割が便や汗です。

カリウムが不足することはあまり一般的ではありませんが、身体調子があまり良くなく下痢の状態が長く続いている方、何かしらの理由で利尿剤を服用している方、スポーツなどの運動により日頃から大量に発汗のある方などはカリウムの不足に注意が必要です。

また、アルコールやコーヒーを普段から良く飲まれる方に関しても、利尿剤ほどではないですが利尿作用が強くなるので注意したいですね。

意識的に摂取する方法としては、カリウムが熱に弱いという性質を持つため、日頃から生野菜など加熱調理がされていない食材を多く食べたり、減塩を心がけるなどされると良いでしょう。

〇カリウムの過剰症

カリウムとナトリウムが相互関係にあるのは既にご紹介しましたが、現代の我々の食生活の中で危惧するべきはカリウムの過剰症ではなくナトリウムの過剰症でしょう。

コンビニエンスストアなどで簡単に手に入る加工食品には保存期間や製造工程の関係上、生鮮食品に比べれば多くの塩分が含まれています。

また、我々日本人の食生活に馴染みの深い味噌や醤油も高塩分な調味料の一つです。

ナトリウムの摂取量の増加に伴い、我々はカリウムの摂取を普段から意識する必要があると言えます。

成人男性で2,500mg、女性で2,000mgを目安に摂取する必要があると言われますが、普段から塩分量の多い食事をされる方、高血圧を予防されたい方はもう少し多く摂取するイメージを持たれると良いでしょう。

〇おわりに

今回はナトリウム同様、我々人間の身体に欠かすことの出来ないミネラル、「カリウム」についてご紹介しました。

過剰症の心配がないどころか、現代の食生活から摂取量が少な過ぎるとも言われるカリウムですが、あまり意識して食事をされている方は少ないようです。

今日の食事から是非とも意識してみてはいかがでしょうか。