〇ナトリウムの基本情報

ナトリウムは必須ミネラルの一つであり、体内でカルシウム、リン、カリウムに次いで多く存在しているミネラルであり、成人の体内であれば約100g含まれています。

主に細胞の外側に存在し、細胞内外のミネラルのバランスを保つ働きがあります。食塩(塩化ナトリウム)、重炭酸塩、リン酸塩として、約50%は細胞外液中に、40%は骨格に存在し、細胞内液中には少し含まれる程度です。

ナトリウムはカリウムと共働して細胞外液の浸透圧を正常に保ったり、体内の水分バランスを保つなどしているほか、塩基平衡や筋肉の収縮、神経伝達や栄養素の吸収・運搬など多岐に渡って関与しています。

また、ナトリウムは血圧や浮腫みの調整にも一役買っています。これは、水分量を保持しながら細胞外液量や血液の量維持することによって保たれますが、一時的にナトリウムを過剰に摂取すれば平衡が崩れ、浮腫みといった症状に繋がります。

1日あたりのナトリウムの摂取基準は食塩相当量に換算して成人の男性で8.0g未満、成人の女性でも7.0g未満となります。

しかし、平成21年の国民健康・栄養調査によれば男女ともに基準値を大きく上回る摂取量となっており、日本人は平均的に見て塩分を多く摂取する傾向にあることが分かります。原因としては、日本人の食事の文化が少なからず影響しています。塩分というのは食塩以外にも醤油や味噌などの調味料、漬物などの保存食など我々日本人に馴染みの深い食材が塩分過多の一因となることも少なくありません。

しかし、現代の食事で気を付けなければいけない一つとして、コンビニエンスストアで手軽に手に入れられるようになった「加工食品」があります。これらの商品は比較的安価で何よりも長期の保存が可能です。長期保存は日本でも昔から行われてきましたが、そのために食塩を多く使用します。加工食品や外食の機会が多い方は、普段のご自宅での食事の際は減塩を心がけると良いでしょう。

〇ナトリウムの欠乏症のリスク

普段の生活・食事を通してナトリウムが不足することはほとんどありません。これは、先にも述べたように我々日本人は普段から食塩(塩分)を摂取する食生活をして過ごしているためです。

しかし、真夏の酷暑や湿度の高い室内などで長時間過ごして大量の発汗があった場合や、激しい下痢や嘔吐などの直後は、体内の塩分濃度が急激に下がるなど多くのナトリウムが失われます。急激なナトリウムの不足は血液の循環を滞らせたり、吐き気が増すななどの症状に襲われます。

スポーツをする際、外出時にはスポーツドリンクなどでこまめに水分補給をして下さい。

また、大量の発汗で体調を崩した時に水分補給で「ミネラルウォーター」などのお水を摂取する方がおられますが、体内のナトリウム量が減った状態でさらに水分を摂取すると体内の塩分濃度はさらに薄まっていくので注意が必要です。

〇ナトリウムの過剰症

欠乏症よりもより身近に潜んでいるのが、過剰症です。

冒頭でも触れたように我々日本人の食生活スタイルは意識しなくても塩分が摂れるようになっており、加えて加工食品など塩分が多く含まれる商品もかなり身近になりました。

ナトリウムというのは、普通であれば多量に摂取しても尿と一緒に体外に排出されるため特に過剰症の心配はないはずなのですが、多量摂取が長期に渡ればその限りであありません。

体外に排出されるはずのナトリウムを排出しきれず、残ったナトリウムは体内に蓄積することとなります。体内のナトリウムの量が増えれば細胞内外のミネラルのバランスが崩れ浮腫みの原因になったり、高血圧にもなりやすくなります。

また、慢性的塩分の多量摂取は脳卒中や胃がんのリスクを高めることとなってしまいます。

〇おわりに

今回は身近な存在でもある「ナトリウム」についてご紹介しました。

普段の生活から多く摂り過ぎている可能性の高い「塩分」ですので、常に「減塩」を心がけるなどして食事が摂れると良いですね。