〇パントテン酸の基本情報

パントテン酸はビタミン群の一つであり、もともと酵母の成長を促す物質として発見されましたが、数々の研究結果からビタミンであるという認識が高まり、ビタミンB群の中でも5番目に発見されたことからかつては「ビタミンB₅」と呼ばれていました。

パントテン酸とは「いたるとこに存在する酸」という意味合いがあり、文字通り様々な食品に含まれています。

ですので、よほど偏った食事をしていない限りはパントテン酸が不足することはまずありません。

主要な働きとして三大栄養素でもあるたんぱく質・脂質・炭水化物(主に糖質)の代謝を助ける役割があり、食品から摂取したこれらの栄養素は体内で酵素によって分解され、新たにアデノシン三リン酸(ATPと呼ばれるエネルギー物質に変換されます。そのアデノシン三リン酸が運動や日常生活の活動レベルに応じて消費されます。

パントテン酸は体内の細胞内に「コエンザイムA(補酵素A)」「アシルCoA」「アシルキャリアタンパク質(ACP)」などの形で存在しており、食品として摂取された後に最終のパントテン酸まで分解されて吸収されます。

体内で活性化したパントテン酸は、エネルギー生産の際に重要な役割を果たす補酵素Aやアシルキャリアタンパク質の成分となるほか、脂肪酸に結合することで炭水化物 (糖質)、脂質、たんぱく質から、エネルギーをつくり出す反応に関わるアセチルCoAや、脂肪酸の合成と分解に関わるアシルCoAを作ることで脂質や糖質の代謝で重要な役割を果たすなど、身体の中で起こる様々な代謝・酵素反応に関わっています。

〇パントテン酸が不足するとどうなるの?

冒頭でも少しご紹介した通り、パントテン酸は様々な食品に含まれるビタミンであり、尚且つ体内んも腸内細菌内において合成が可能なビタミンであるため、パントテン酸の欠乏症はほとんどありません。

パントテン酸が不足すると、細胞内の補酵素Aの濃度の低下が原因で欠乏症の初期症状として疲れやすくなる、食欲不振や便秘などといった症状が出始めます。

さらに、めまい、頭痛、動機や睡眠障害など、さらに症状が進行すれば激しい痛みを伴う知覚の異常、副腎皮質や消化管などの臓器機能不全などが起こります。

とは言え、何度も言いますがパントテン酸は幅広い食品に含まれるビタミンですので、欠乏症の心配はほとんどありません。

また、仮にパントテン酸の欠乏症になったとしても、通常その多くが他の栄養素も一緒に欠乏している可能性が高いため、パントテン酸のみの欠乏症を見抜くのは非常にこんなんであるとされています。

〇パントテン酸を摂り過ぎるとどうなるの?

パントテン酸を過剰に摂取した場合、速やかに尿として排出されるため、量を摂り過ぎても過剰症の心配はほとんどありません。

〇おわりに

今回は水溶性ビタミンでビタミンB群の一つである「パントテン酸」についてご紹介しました。

幅広い食品に含まれていることが特徴でもあるこのビタミン、欠乏症のリスクも過剰症のリスクもほとんどないことからそこまで重要視されない傾向にありますが、その役割はとても重要なものです。

特に妊娠期の女性では葉酸と同様に不足しがちな栄養素であるので、意識的に摂取されることをお勧めします。