〇ビタミンDの基本情報

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一つであり、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ役割やカルシウムの吸収を助けたり、免疫力を高めてくれるなど、丈夫な体作りには欠かせない栄養素です。紫外線を浴びることにより体内で合成できる唯一のビタミンでもあるため、「太陽のビタミン」と呼ばれたりもします。

ビタミンDにはビタミンD₂からD₇の6種類が存在し、D₄からD₇は食品中にはほとんど含まれておりません。これらは活性(利用率)もそこまで高くないため、一般的にはビタミンD₂とビタミンD₃が主に使われます。

キノコなどの植物性食品に含まれるビタミンD₂(エルゴカルフェシロール)と動物性食品に含まれるビタミンD₃(コレカルシフェロール)ですが、体内での働きは二つとも同じです。

体内に入ったビタミンDは小腸で脂質と一緒に吸収され、肝臓と腎臓の酵素の働きによって活性型ビタミンDに変換されます。変換されたビタミンDはその都度肝臓に蓄えられます。

また、血液中のカルシウム濃度を一定に保つという点においてですが、体内に存在するカルシウムの内、そのほとんどは骨や歯に存在し、残りの数パーセントが血液中や筋肉に存在しています。その数パーセントのカルシウムが筋肉を収縮させたりするなど、とても重要な役割を果たしているのです。

これらの働きが正常に行われるのも、全てビタミンDが血液中のカルシウム濃度を調整してくれているおかげであり、例えば食事からのカルシウム摂取量が少ない時には骨から直接血液中にカルシウムが溶け出し、逆に多い時には骨に蓄えておけるように調整してくれます。

〇ビタミンDが不足するとどうなるの?

カルシウムの吸収に直接結びつくため、全ての年代において必要なビタミンDではありますが、特に妊娠中や授乳中の女性や乳幼児には大事な栄養素となります。

先にも挙げましたが、ビタミンDが不足すると小腸でのカルシウムの吸収が上手くできなくなったり、腎臓でのカルシウムの再吸収が能力が低下するなどして、精神的に不安定になったりイライラすることが増えるようになります。

妊娠期や乳幼児以外の方でも骨軟化症や子供であればくる病になるリスクが高まるなど注意が必要です。

また、閉経後の高齢女性に多い症状としては、例え日頃から牛乳を飲んだりヨーグルトを食べるなどしてカルシウムを摂取していたとしても、ビタミンDの不足によりカルシウムを上手く吸収することが出来ず、骨粗鬆症になってしまうケースも少なくありません。

とは言え、ビタミンDが欠乏することは稀なケースであるとも言えます。日頃から太陽の光を浴びるなどしていれば、体内で合成がされるからです。

しかし、腎臓や肝臓の障害により体内で活性型ビタミンDに変換できなくなる場合は要注意です。

〇ビタミンDを摂り過ぎるとどうなるの?

ビタミンDも脂溶性ビタミンの一つであるため、過剰に摂取してしまうと余った分は体内に蓄積されてしまうので注意が必要です。長期間のビタミンDの過剰摂取は、カルシウムを貯蔵しきれなくなった分が骨から血液中に溶けだし、血液中のカルシウム濃度が上昇してしまう「カルシウム血症」のリスクを高めます。倦怠感や食欲不振、下痢、嘔吐などの症状が見られ、ひどい場合には腎臓機能障害や神経障害をも招きます。

また、カルシウムが血管や内臓に付着して起こる動脈硬化も、腎機能障害と同じく注意が必要ですね。

〇おわりに

今回は脂溶性ビタミンの一つであるビタミンDについてご紹介しました。

多くの方がビタミンDと聞くと「1つ」をイメージされるかと思いますが、実際はビタミンD₂からD₇と5つがあるんですね。

やはり、摂り過ぎれば過剰症、少なくなり過ぎれば欠乏症とご自身にあった量が重要になってきますので、たまには意識してみて下さいね。