どんなにピカピカの車でも、年数が経てば何かしらの不備や故障はあるものです。これは部品の酸化であったり消耗が主な原因ですが、これらは我々人間にも起こります。年齢を重ねることで関節の可動域が狭くなり、「腕を上げたくても上げられない」なんて経験はありませんでしょうか?まさしく車に起きる故障や消耗と同じことです。

しかし、車と人間では大きく違う点があります。それは、『部品の交換が利かない』という点です。車であれば、部品が壊れても修理・交換で元に戻すことが出来ますが、人間だとそうはいきません。

今回は、そんな関節の中でも『肩の痛み』にフォーカスしてご紹介します。

肩の痛みの原因は?

あなたの肩の痛みの原因は何でしょうか?肩の痛みでもっとも有名なものが『四十肩五十肩』かと思います。肩関節の耐久性が年数と共に落ちてきた結果、ある日突然に痛めてしまう…という流れです。

では、60歳以上の方々が抱える肩の痛みの原因は何でしょうか?普通に考えて、50代の頃から少なくとも10年は経過している訳ですから、当時よりも肩の耐久性はさらに落ちていると見ていいでしょう。年齢からみても五十肩の可能性は低く、大抵の方が『腱板損傷』と診断されておられます。

腱板損傷とは?

腱板損傷(けんばんそんしょう)とは、腕の骨を固定・コントロールしている腱を痛めてしまうことを言います。損傷の度合いにもよりますが、腱が完全に切れてしまうことを腱板断裂(けんばんだんれつ)と言います。かなり使い込んだ輪ゴムをイメージしていただけると良いのですが、新品の時に比べて耐久性が弱く、思い切り引っ張ると千切れてしまいますよね?筋肉と骨を結ぶ腱も長年使い続けると摩耗してしまい、ゴム同様千切れてしまいます。千切れる(断裂)までいかなくとも、摩耗して耐久性が脆い状態で外側から何かしらの負荷が加わることで腱が切れてしまうことも少なくありません。

しかし、転倒時の衝撃が大き過ぎて肩の痛みにすぐに気づくことが出来ず、腱板損傷までたどり着かないことがしばしばあります。(高齢者の単独での転倒がまさにこれです)

一般的な症状としては、腕や肩を動かす際の痛み、力が入りにくいというものです。ここで1番怖いのが、このような症状を「歳だから仕方ない」という理由で片づけてしまい、痛みの本当の原因に気付くことが出来ないことです。

腱板損傷になったらどうするの?

痛みを感じたら、先ずは病院で診てもらいましょう。診察の結果、多くの場合で『保存療法』を選択することになりますが、断裂部分が完全に治癒することは無いものの、70%は保存療法で軽快します。保存療法では主に注射療法と運動療法が行われることが通常でしょう。

また、保存療法の結果症状が快方に向かわない場合は手術が行われます。手術後は大体4週間程度の固定と1~3か月の機能訓練(リハビリ)が必要でしょう。

怪我をする前に出来る予防

ここまで腱板損傷の原因や手術についてなど詳しく解説させて頂きましたが、出来れば怪我はしたくないものです。既に肩を痛めてしまった方が多いかとは思いますが、怪我をする前にこの記事をご覧になられている方がおられましたら、その方はとてもラッキーです。

具体的な予防は大きく分けて3つあります。

①トレーニング

攻撃は最大の防御なんて言いますが、日頃から鍛えるというのは最大の予防と言えるでしょう。全身を満遍なく鍛えることで、基礎筋肉量が増えれば、転倒のリスクを防いだり、身体そのものを強くすることが可能です。

②ストレッチ

トレーニングと併せて行いたいのがこのストレッチです。柔軟な筋肉と関節は様々な怪我のリスクからあなたを守ってくれます。1日3分の積み重ねがこの先10年の保証となるのです。

③高たんぱく質な食事

トレーニングやストレッチが出来るなら、ここも疎かには出来ません。しっかり鍛え後はしっかり栄養補給が必要です。よくトレーニングだけ一生懸命やって、食事は適当みたいな方がおられますが、これは本当に勿体無いです。分かりやすく、『トレーニングを頑張ったらプロテインを飲む』でいいと思います。