世界に誇ることができる、世界から認められるものの中に「和食」があります。我々日本人にとっては馴染みの深いものであり、特別意識することもないかもしれませんが、世界的にみれば大変ヘルシーな食事として高い評価を集めています。

しかし、和食が注目を集める一方で、我々日本人が慣れ親しんできた食材の中には塩分が非常に多いものも沢山存在するということをご存知でしょうか?醬油や味噌、漬け物を始め、一見カロリーが低くても実は塩分濃度が高く、高血圧などの肥満とは違った角度からのリスクがあることを知っておかないといけません。

本日は、そんな「塩分」にまつわる健康についてのお話をご紹介したいと思います。

身体の中での塩分の働き

塩分は我々の身体に対して、様々な面で働いてくれています。

神経や筋肉の働きをサポート

私たちが日常生活や運動時に身体を動かす時、脳からの命令が電気信号として神経細胞を伝わっていきます。この電気信号を伝えるためになくてはならないのが、塩の成分でもある「ナトリウムイオン」です。これが不足すると伝達がうまくいかなくなり、体調不良などを引き起こします。夏の暑い日にスポーツなどの激しい運動をすると足をつる方がおられますが、これは汗をかいた結果、身体のナトリウムが極端に不足したために引き起こされます。

細胞を正常に保つサポート

塩は、私たちの身体の中の様々な体液(血液・消化液・リンパ液)に、「イオン」の状態で溶けています。そして、細胞の内と外との体液の圧力(浸透圧)を調整を調整することで、バランスを一定に保ってくれているのです。実はこのバランスがとても重要であり、どちらに傾いても、栄養を体内に取り込めなくなってしまったり、循環不全、血圧低下、脱水症状、ショック症状や立ちくらみ、むくみなど様々な症状に繋がるリスクがあります。

塩の摂り過ぎによるデメリット

高血圧と診断される人の95%は「本態性高血圧」といって、原因不明の高血圧です。本態性高血圧の原因は、塩分(特にナトリウム)の過剰摂取がその一つとされておりますが、他にも、肥満、飲酒、その他の生活習慣要因、遺伝的体質など、様々な要因が考えられています。

ナトリウムの過剰摂取による高血圧により、心血管病、脳卒中、心筋梗塞あるいは慢性腎疾患となるリスクが増加すると考えられており、外食やコンビニエンスストアなどで食事を済ませる方は、自炊によって食事を済ませる方に比べても塩分の摂取量は多いとされています。

しかし、過度の減塩(1日当たり3g以下)は健康障害を引き起こすという疫学的研究があります。これは先ほどの章でも述べたような塩分の働きが低くなる事に起因していますが、冒頭でも紹介したような味噌や醬油などの比較的高塩分な食材に普段から慣れ親しんでいる日本人の場合、普段の生活から「薄味」を心掛けるのが好ましいと言えるでしょう。

おわりに

今回は「塩分」に関する健康上のメリット・デメリットについてご紹介しました。

過剰摂取とともに過度の減塩も健康障害をもたらす場合があることに留意しながら、日々の生活の中で意識していただければと思います。