年齢を重ねるほど「水分補給はこまめにお願いします」という風に言われますが、皆さんはその理由までご存知ですか?

人間は加齢と共に水分を蓄えておける筋肉量が減少することにより、体内の総水分量が若い頃に比べて少なくなってしまいます。それに比例するように体内の水分調整において最も重要な腎臓の働きが低下し、体内の老廃物を排出する便や尿の量が減ってしまいます。結果として、のどの渇きに対しても鈍感にになり、その状態に慣れてしまうと「そんなに飲まなくても大丈夫」といったように本人が錯覚してしまうのです。

しかし、これらの状態はいざ「のどが渇いた」と感じた時には既に手遅れなケースも少なくありません。梅雨が終わり厳しい暑さが続く7月~残暑の残る10月にかけて、冷房の効いた部屋で高齢者が熱中症や脱水症状でお亡くなりになるのはこれらが原因でしょう。

のどが渇いたと感じた時には既に脱水状態であり、放っておくと意識レベルが低下、次第に昏睡状態となってしまうのです。

では、上記のような脱水を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?

脱水症状にならないために

対策はいたってシンプルであり、

  • 定期的な水分補給
  • 出来るだけ吸収性の高い飲料水を選ぶ

上記の2点で予防は可能です。

〇定期的な水分補給

気を付けてはいても、ついつい後回しにしたり忘れてしまいがちな水分補給ですので、1日に飲む量と飲む時間帯を決めておくと良いでしょう。

例えば、「食事の時は必ず食前と食後の2回必ずコップ一杯分のお水またはお茶を飲む」であったり、「1日に最低でも1.5リットルは水分を摂る」でも良いでしょう。ノルマを作ることで半強制的に脱水状態から自身を遠ざけることが出来ます

〇どんな飲料水がいいのか

吸収率を考慮する上で知っておいて頂きたいのが「浸透圧」です。

体内に入った水分は腸で吸収された後に細胞膜を通って身体の隅々まで行き渡りますが、その水分が移動する際に細胞膜にかかる圧のことを浸透圧と言います。

下記のように、浸透圧を基準に飲料水を大きく3つの種類に分類することができますが、脱水を予防する上で最もおすすめしたいのが「ハイポトニック飲料」です。ハイポトニック飲料は、体液と同じ成分を含んでおり、体内での吸収が早いといった特徴があります。

  • ハイポトニック飲料
    浸透圧が人間の体液よりも低い
  • アイソトニック飲料
    浸透圧が人間の体液とほぼ同じ
  • ハイパートニック飲料
    浸透圧が人間の体液よりも高い

おすすめハイポトニック飲料

いわゆる「スポーツドリンク」が良いでしょう。

ここまでの文を読み返すと、なぜスポーツの現場では盛んにスポーツ飲料が飲まれるのかがお分かりになるのではないでしょうか。

とは言え、1日に摂る水分を全てスポーツ飲料水に代替してしまっては、糖質やカロリーを余分に摂取してしまい兼ねませんので、ご注意下さいね。

さいごに

ここまで水分の重要性についてご紹介しましたが、さいごに「これだけはお気を付け下さい」という内容を簡単にまとめました。

  • 下痢や嘔吐などの体調不良時には要注意
    これらの症状が見られる場合、通常時に比べて体内の水分量が著しく低下している状態です。軽い脱水だけでも深刻ですが、重症化すれば意識が朦朧とするなど命の危険を伴いますので、下痢や嘔吐が見られる場合にはいつも以上に水分補給を心がけて下さい。
  • 持病をお持ちの方は要注意
    腎臓病や心臓病などが原因でお医者さんから水分量の制限を受けておられる方は、ご自身のお体に合った水分補給を行いましょう。