日本は今、かつてない高齢化の時を迎えようとしています。皆さんご存じの通り、今の日本の人口が1億2650万人なのに対し、高齢者(65歳以上)の占める割合は年々増加傾向にあります。そんな高齢者の方々ですが、皆さん一様に介護が必要な方ばかりではなく、中には90歳を過ぎても元気に過ごしておられる方も沢山おられます。

しかし、加齢による衰えというのはそう簡単に抗えるものでもなく、多くの方が高齢期に達するころには要介護状態となられており、自宅または施設に入所されております。

近年では、上記のような健常な状態から要介護状態になるまでに、「フレイル」という期間を過ごしていると言われるます。

今回は、そんなフレイルについて詳しくご紹介させていただきます。

フレイルとは?

冒頭でもありましたが、フレイルとは健常な状態から日常生活を送るうえで手助けが必要になる要介護状態へ移行するまでの特定の期間・段階のことを言います。

具体的には、加齢に伴う筋力の低下・筋量の減少、体力の低下などが原因で外出や運動頻度が減り自宅に閉じこもりがちになるなど、高齢化に伴う衰え全般を指しています。

また、フレイルの特徴としては身体的な問題にとどまらず、うつなどの精神的・心理的問題、認知症などを主とした認知機能の障害なども含まれます。

さらに、身体的・精神的問題の他にも経済的な困窮や長年連れ添った伴侶の死による孤独・独居などのの社会的問題を含むなど、多面的な概念と言えるでしょう。

そんなフレイルの時期に、身体的・精神的・社会的ダメージを受けることで高齢者自身の生理的回復力が衰えてしまい、最終的には環境や外的ストレスに対しての抵抗力自体も弱まってしまいます。その結果、健常から要介護の状態に移行してしまうという訳です。

しかし、高齢者自身、または周りの早期発見・早期の支援により適切なステップを踏むことで、健常な状態に戻ることができる時期でもあります。

フレイルの原因は?

フレイルとは、加齢に伴う多くの心身の変化と社会的な要因が重なり合って起こります。以下に例をご紹介しますので、ご確認ください。

  • 加齢に伴う活動量の低下
  • 筋力の低下・筋肉量の減少
  • 認知機能の低下
  • 社会交流の減少
  • 慢性的な低栄養
  • 収入の減少
  • 孤独になる

フレイルの予防方法

現在健常な状態である方向けにはなりますが、今の状態(生活習慣病などを含む)をキープ(予防)しながらの運動機能や認知機能の低下を予防し、頻繁に社会との繋がりを持ち続けることが重要です。

定期的な運動の機会を設ける

運動機能の維持、生活習慣病などを含む持病の予防には、適切な運動習慣が最も効果的と言えるでしょう。

また、運動そのものの機会を設けること自体がハードルが高い場合、日常生活に何らかの運動を取り入れると良いでしょう。エレベーターの代わりに階段を使ってみたり、最寄り駅で降りるのではなく一駅前で降りて歩く時間を増やすなど、無理なく実践できるもので大丈夫です。続けることに意味がありますので、あまりしんど過ぎて長く継続できそうにないものは避けてください。

食べ過ぎ、食べなさ過ぎに注意する

過食をしないことは生活習慣病を予防する上で大事なことですが、加齢による食事量の変化にも気を付けましょう。若い頃に比べて食が細くなるのはごくごく普通のことではありますが、食事量が減るのと必要な栄養素が摂れないのはまた別の話です。健康的な身体を維持するためにも、たんぱく質に代表されるような三大栄養素を基本にしっかり食事を摂りたいですね。

外出の機会を増やす

高齢になると、社会的地位や家族内での役割が変わったり、知人や家族の死による孤独感をけいけんすることとなります。これらをきっかけにやる気を失ったり喪失感に襲われて自宅に籠りがちとなってしまうケースが少なくありません。

上記のような負のスパイラルにならないよう、自身で積極的に予定を立て、外出する頻度を高く保てると良いですね。

今はSNSが広く浸透していますから、自分の趣味を世界に向けて発信するもよし、気の合う仲間と一緒に食事をするのも良いことでしょう。

おわりに

今回は高齢者の方々に迫るフレイルについてご紹介しました。

身体的な衰えだけでなく、精神的・社会的な影響も大きく関係してきますので、ご注意下さいね。

まだ先の話だなんて思わず、今のうちからコツコツ準備を始めたいですね。