サルコペニアとは?

サルコペニア」とは、ギリシャ語で「筋肉」を意味する「sarx(サルコ)」と喪失を意味する「penia(ペニア)」が組み合わさった言葉です。加齢に伴って生じる骨格筋量(筋肉)と骨格筋力(筋力)の低下」は、我々人間だけでなくほぼ全ての動物で見られる現象です。加齢、すなわち老化による骨格筋量の低下は、筋肉量や筋力だけでなく、体力や生命維持機能の低下にも直結する重要な事象です。

具体的な例を挙げると、

  • 歩くスピードがゆっくりになる
  • 階段が手すりなしでは降りられなくなる
  • 握力が落ちる

など局所的というよりは全身の筋力低下が著しく見られるようになります。

また、サルコペニアには加齢が原因で起こる「一次性サルコペニア」と加齢以外にも原因が認められる「二次性サルコペニア」の二つが存在します。日常生活やあなたがお持ちの疾患、普段の食生活(栄養状態)が原因で誘発してしまうこともあるので注意が必要です。

〇二次性サルコペニアの具体例

  • 昼夜を問わず寝たきりな、日活発的な生活スタイル
  • 心臓や肺、肝臓などの重症臓器不全、悪性腫瘍や内分泌疾患に付随する疾患を持っている
  • 消化不良/消化管疾患、食欲不振に伴う低栄養状態、たんぱく質量の摂取不足

サルコペニになりやすい人

近年の日本の高齢者問題の一つとして挙げられるサルコペニアではありますが、皆が一様になる訳ではありません。人によってはならない人もいるようですが、ここではサルコペニアになる可能性が高い方の特徴をまとめました。

  • 痩せ型の人
    一見体脂肪量も少なく健康的なようにも見える方々ですが、痩せておられる分1回の食事の量が少ない為に摂取カロリーが少なくなり、特にお肉やお魚と言った動物性たんぱく質が不足する傾向にあります。
  • 太っているけど筋肉量が少ない(サルコペニア肥満)
    生活習慣病のリスクを危惧した結果、食事制限のみによる無理なダイエットを行うことで筋肉量を過剰に減らしてしまった結果です。本来の目的である生活習慣病の予防の筈が、筋肉量を減らしてしまったせいで余計にリスクが高まることも少なくなくありません。食事制限はするけど運動は一切しない、お腹は出ているが脚は細いといったかたは注意が必要です。

サルコペニアを予防するには

サルコペニアの予防には食事・運動どちらか一つではなく、両面からのアプローチが最も効果的であると言えるでしょう。

〇食事面のアプローチ

  • 一番に意識するのはたんぱく質
    ご飯だけ、パンだけといった単品のみの食事ではなく、毎食に肉類、魚類、卵や大豆製品といった「たんぱく質」が摂れる食材をプラスするよう心がけてください。たんぱく質をしっかりと摂取することで骨格筋を形成するために必要な栄養素が効率よく身体に取り入れられます。
  • カムルシウも忘れない
    たんぱく質と併せて摂りたいのが「カルシウム」です。普段から意識的に牛乳などを飲まれる方は問題ありませんが、そうでない方は間食にヨーグルトを食べるなどして乳製品を意識的に摂るよう心がけてください。また、カルシウムの吸収率を上げるためにビタミンDを多く摂るのも良いでしょう。

〇運動面のアプローチ

  • 普段ほとんど動かない生活を送っておられる方は、まずはウォーミングアップなどの有酸素運動からスタートします。ご自身の運動レベルに合わせて負荷や強度を調整しますが、慣れてきたらレジスタンストレーニングなどの筋トレを行うとより効果的です。