グルタミンは必須アミノ酸ではありませんが、ストレス社会に身を置く現代人にとっては実質必須アミノ酸といってもいいほど、重要なアミノ酸です。前号ではグルタミンの本質的なことを紹介していましたが、今回はグルタミン作用についてご紹介したいと思います。

小腸の唯一のエネルギー源!?

人の体の中で大量にエネルギーを消費する部位は脳と小腸と言われています。ご存じの方も多いかと思いますが、脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としていて、それが枯渇しないための様々な補完機能が体内に備わっています。今回はグルタミンについての紹介なのでここは割愛させていただきます。
そして脳と並ぶ大きな存在の部位が小腸です。
口から摂取したほぼすべての栄養素は、胃で消化されて小腸で吸収されることになります。
つまり小腸は本当に栄養素の入り口とも言えます。そんな小腸はエネルギーもとより、あらゆる栄養素を摂取すればするほど働かせることになるわけです。では、小腸自体は何をエネルギーにしているのかといえば、それがアミノ酸であるグルタミンなのです。
免疫力の向上とも関連しますが、腸内には膨大な数の細菌が存在しています。
もしその細菌が小腸を通じて体内に侵入することになれば、あっという間に体は細菌に侵されてしまうことになります。それを防ぐためにも、その免疫細胞を常に新陳代謝させるためにも、小腸は相当なエネルギーを消費しなくてはならないのです。

実は胃にも効果的

グルタミンは小腸の主要なエネルギー源ですが、小腸の手前の臓器である胃にも重要な栄養素です。
実はグルタミンは胃炎や胃潰瘍などの薬の成分などにも使用されています。
病院などで処方される胃薬の成分にグルタミンが配合されていることは珍しくありません。
潰瘍など胃にトラブルが起こると、そこを修復するために細胞の新陳代謝が進みます。その際の細胞分裂や胃粘膜の分泌にグルタミンが必要されるのです。
実際にグルタミンは胃粘膜の修復を促進させてくれるので、二日酔いなどにも効果があると言われいます。
胃と腸に役立つグルタミンは、現代人にとってはもはや必須アミノ酸以上の存在といえるかもしれません。

グルタミンの定番といえる免疫力の向上

そしてもう一つグルタミンの作用の中で最もありがたいものが免疫力の向上です。この効果が故にグルタミンをコンディショニング用のアミノ酸などと考える人もいます。
この免疫力のは腸とのかかわりが密接で、小腸は栄養の本当の体内の入り口でありますが、同時に様々な細菌の入り口とも言えます。そのために腸内の粘膜は強いバリア機能を備えていて、非常に活発に新陳代謝が行われています。
体内で免疫を司るのは白血球のリンパ球ですが、このリンパ球が減少すると免疫機能が落ちてしまいます。グルタミンを摂取することによって、血液中の総リンパ球が増えることが確認されていますし、運動によるウイルス感染のリスクが低下するという報告もあります。

グルタミンにも弱点がある?

BCAAのドリンクはお店などでも見かけますが、グルタミンのドリンクは見かけたことがないのではないでしょうか。これはグルタミンを水に溶かした際の安定性が悪いということに起因しています。物質的なグルタミンの弱点は水への溶解度が低く、安定性が低いという点かもしれません。これはドリンクとして数か月間の品質保持期間を維持させることが難しいですが、粉末のグルタミンを水で摂取する分には問題ありません。

まとめ

グルタミンは筋肉合成促進、分解抑制、成長ホルモンの分泌促進、そして何より小腸のエネルギー源となり、免疫力を高めるなど、グルタミンの生理機能は多岐にわたります。優先順位が低く、試したことがないという方はぜひ一度グルタミンを試してください。