フェニルアラニンの基本情報

必須アミノ酸」の一つであるフェニルアラニンは、体内で合成することが出来ないアミノ酸のため、必ず食事から摂取する必要がある栄養素です。

牛肉や鶏肉といった肉類、マグロやカツオなどの魚介類、牛乳やチーズなどの乳製品、大豆などの豆類などのたんぱく質食材に幅広く含まれています。

脳と神経細胞間の信号を伝達する役割を持つ神経伝達物質として働くことが確認されており、肝臓で非必須アミノ酸であるチロシンに変換され、精神を高揚させてポジティブな気持ちにしてくれる作用と、血圧を上昇させる作用があります。上記のチロシンは、興奮性の神経伝達物質であるドーパミンやアドレナリンなどの前駆体となります。

また、フェニルアラニンは人工甘味料であるアステルパームの原料として、アスパラギン酸などと同様に使用されます。

フェニルアラニンの効果・効能

  • 鎮痛効果
    フェニルアラニンには、痛みを抑える効果があり、DL-フェニルアラニンと呼ばれる合成のアミノ酸は、医療現場などでも鎮痛剤として広く使われています。慢性的な痛みなどで悩む方の多くは、血中や脳脊髄液中のエンドルフィンの活性レベルが落ちていることが分かっっており、DL-フェニルアラニンはエンドルフィンのレベルを正常値まで回復させ、鎮痛作用を持続してくれます。また、強力な抗うつ薬としても作用するだけでなく、慢性関節リウマチや骨関節肝炎、腰痛や肩こりにも効果が期待できます。
  • 脳細胞の活性化
    体内に入ったフェニルアラニンは、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質へと変換されます。この神経伝達物質が気分の落ち込みなどを改善させ、うつ病などにも効果が期待できます。また、脳細胞の活性化による記憶力の向上についても確認がされています。
  • 皮膚疾患の改善
    皮膚の一部の色が白く抜け落ちる原因不明の皮膚病、「白斑」への効果が期待されるアミノ酸です。フェニルアラニン単体の摂取だけで十分な有用性がある訳ではありませんが、紫外線A波との組み合わせによる有用性が確認されています。

フェニルアラニンの過剰症

フェニルアラニンはたんぱく質食材やダイエット飲料などの甘味料など、幅広い食材・食品に含まれているため、日々の食事で摂取する機会は非常に多くなるでしょう。

しかし、フェニルアラニンの過剰症については殆ど心配はされておらず、仮に摂り過ぎてしまっても健康にはさほど影響はないでしょう。

ですが、フェニルアラニンには「血圧を上昇させる」作用もあるため、高血圧等のリスクを高めます。心臓病などの心疾患をお持ちの方や、妊娠期の方は摂取を控えるようにして下さい。

おわりに

今回は必須アミノ酸の一つでもある「フェニルアラニン」についてご紹介しました。

うつ病などの症状にも効果が期待できるアミノ酸ですが、妊娠期や高血圧の方にはリスクもあるアミノ酸です。過剰に摂取することで起きる弊害にはくれぐれもご注意頂きながら、日々の食事の中で上手く取り入れて頂ければと思います。