〇マグネシウムの基本情報

マグネシウム」は、体内で300種類以上の酵素の働きを助けてくれるミネラルの一種であり、カルシウムと密接な関わりがあります。

食品から摂取されたマグネシウムは主に小腸で吸収され、そのほとんどが腎臓で排出されます。ビタミンD,によって腸管での吸収が促進され、過剰が無いようにカルシウムやリンによって抑制がされるほか、不足する場合には腎臓でのマグネシウムの再吸収が促進されたり、骨内のマグネシウムを血中に放出することで血中のマグネシウム濃度を一定に保つことが出来ています。

補酵素としての働きがメインであるマグネシウムですが、その主な内容は栄養素の合成や分解、神経伝達、カルシウムとバランスをとりながらの筋収縮の調整など多岐にわたります。

そんなマグネシウムですが、我々人間の身体の中には成人男性でおよそ20~25gほど存在しています。体内のマグネシウムの内、50%~60%はリン酸や炭酸塩として骨に付着しており、残りの約40%は筋肉や肝臓、血液、細胞内液など、たんぱく質と結びついた形で存在しています。

冒頭で「マグネシウムが300種類以上の酵素の働きを助ける」と紹介しましたが、その内の一つが「三大栄養素の代謝」です。

三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物(主に糖質)が消化・吸収される過程でエネルギー生産が行われますが、その過程において酵素が働くにはマグネシウムという栄養素が必要不可欠です。特に炭水化物(主に糖質)の代謝ではマグネシウムが活躍します。

また、上記で作り出されたエネルギーの利用にもマグネシウムが使われており、このように体内で起こる様々な生理機能に欠かすことの出来ないミネラルなのです。

〇マグネシウム欠乏症のリスク

よほど偏った食事を長期間続けていない限り、マグネシウムの欠乏症は起こり得ません。

しかし、長期的な睡眠不足など普段に比べてストレスがかかるような場面では体内のマグネシウムが多く消費されるために不足に陥ることもあります。

アルコールの多量な摂取や利尿剤の長期的な服用もマグネシウムの不足に繋がるでしょう。どちらも利尿作用が強いため、体内のマグネシウムが尿と一緒に体外に排出されてしまいます。

また、肉類や加工食品などに多く含まれるリンの過剰摂取によりマグネシウムの吸収が妨げられてしまうため、必要量を摂取しているにも関わらず吸収されないなどのリスクも考えられます。

マグネシウムが慢性的に不足すると、不整脈や動脈硬化のリスクを高めることになります。

また、吐き気や精神障害などの症状に襲われたり、長期間マグネシウムの不足が続けば骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高めることになります。

〇マグネシウムの過剰症

基本的にマグネシウムを摂り過ぎてしまった場合でも、過剰分は尿中に排出されるので心配は要りません。

しかし、食事以外(サプリメントなど)からマグネシウムを摂取する場合や、腎機能の低下によりマグネシウムを上手く代謝出来ない場合には高マグネシウム血症の発症リスクを高めてしまう可能性があるので注意が必要です。

マグネシウムの過剰摂取による身近な症状としては、下痢などが挙げられます。

〇おわりに

今回はカルシウムと密接な関係を持つミネラル、「マグネシウム」についてご紹介しました。

カルシウムとの関係から、「ブラザーイオン」とも呼ばれますが、どちらか一方を摂り過ぎても、どちらか一方が不足してもいけません。

補酵素としての役割を最大限に活かすためにも、日々の食事をバランス良く摂る必要がありますね。