私がパーソナルトレーナーとして活動していた頃、50代・60代のお客様とのカウンセリングで、「昔は食べても全然太らなかったのに」「最近お腹の脂肪が気になって」といったような内容のお話を大変よくお聞きします。

この「昔は…」という内容について簡単に説明させて頂きますと、若い頃は比較的基礎代謝量(動いていなくても消費するカロリー)が高く、それでいて活動量も多い、筋肉量もそれなりにある、その上で食事をしっかり摂るので、相乗効果で太りにくい、という状態にありました。

ですが、年齢を重ねることで、基礎代謝量も下がり、活動量も落ち、筋肉量も少なくなる、そんな状態で今まで通り食事を続ければ、どうなるかは一目瞭然ですよね?

これは、プロ野球選手が引退してから徐々に太ってしまうのと似ています。現役時代は毎日練習と試合があるため、活動量も筋肉量も多いが、引退すれば身体を動かす機会も少ない、だけど食べる量は昔と変わらないために、徐々に太ってしまうという訳です。

では、年齢を重ねた状態では絶対に痩せることはできないのでしょうか?

いいえ、そんな訳はありません。適切なアプローチを行えば無理なく健康的にダイエットを成功させることが出来るでしょう。

今回は、そんな50代~60代のかた向けのダイエットのポイントをいくつかご紹介します。

最大の敵は自分

戦を行う上で、最も大事になるのは敵対する相手の情報となる訳ですが、ダイエットにおける敵とは「あなた」です。自分の情報なんて調べなくても分かるとお思いの方もおられるかもしれませんが、皆さんは自分の基礎代謝量や1日の摂取カロリー、消費カロリーを把握していますか?

ダイエットを行う上で、上記にあるような項目を抑えずに皆さんが望む結果を得られるようなことは、まずあり得ません。仮に適当にやったり勘だけで成功した人が居るのであれば、それは単なる「たまたま」か、あなたにそこまで詳しく話していないだけです。

基礎代謝量や摂取カロリー、消費カロリーについては、インターネットで検索すればおおよその数値を知ることが出来ます。この機会に是非とも検索してみましょう。

+1ではなく、-1から始める

先ずは、皆さんが20年前よりも年齢を重ねていること、それに伴い瘦せにくい身体になっていることを自覚する必要があります。

ということは、これまで通りではいけないのです。この時に大事になってくるのは、新しく「何かを始めるのではなく」、「何を我慢できるか」です。

よく、ダイエット宣言と同時にランニングを始める方が大勢おられますが、新しいことを始めるというのは、これまでの生活習慣に新たな刺激(+1)加えるということです。一見新鮮味もあり、良いことのようにも思いますが、実はこれが意外と大変なのです。そのまま習慣化してしまえば良いのですが、せっかく始めたランニングがストレスとなって過食してしまったり、1か月も経たないうちに辞めてしまい、そのままダイエットも終了…というケースは非常に多いです。

ですので、何か新しいことを加えるのではなく、これまでの生活習慣から何か一つを取り除いて(-1)みましょう。

具体的には、食事に関することが最も効果的です。

例えば、毎日続けている間食(お菓子)を我慢してみる、それが辛ければチョコレートだけは我慢してみるであったり、晩酌の際にいつもより1杯だけ少なくしてみる、といったような簡単なもので大丈夫です。

どうですか?これなら出来そうと思えてきませんか?

おわりに

今回は、ダイエットを行う上で大切なポイントについてご紹介しました。

自分を知り、何かをマイナスすることが大事であることが分かりました。ここに一つ付け足すとすれば、「無理をしない」ということです。無理というのはいずれ破綻します。

しかし、少しずつ少しずつ行うことで我慢することを無理と捉えさせず、その我慢になれる頃には、世間の無理があなたの当たり前になっているはずです。