ロコモティブシンドローム」とは、ここ最近は広く浸透してきた言葉ではありますが皆さんは詳しくご存じでしょうか?

そもそもこの言葉は日本人の健康寿命を伸ばしていく取り組みの一環として、日本整形外科学会が2007年に提唱した比較的新しい言葉です。

今の日本の人口が1億2650万人なのに対し、高齢者(65歳以上)の占める割合は年々増加傾向にあり、その中でも体の自由がきかないであったり、自身の身体の制限に不満を抱きながら社会生活を送っている高齢者の数も増加しております。

加齢による身体(筋肉など)の衰えには抗えませんが、完全な寝たきりになってしまう前に予防や対策は出来るはずです。

それらの対策に一発逆転の『必殺技』のようなものは存在せず、日頃の積み重ねや意識が重要となってきますので、この記事を参考に少しでも関心を持っていただけると幸いです。

本日はそんなロコモティブシンドロームについて、症状やチェック方法、予防方法をご紹介します。

ロコモティブシンドロームってなに?

ロコモティブ」が移動能力や運動能力があることを意味する言葉でして、そこに「シンドローム」が加わることにより運動器の障害により基礎的な運動能力が低下している状態を指します。

通称は「ロコモ」で和名が「運動器症候群」です。運動器とは、身体を動かすために関わる組織や器官のことで、骨・筋肉・関節・じん帯・腱・神経などから構成されています。

上記の運動器のいずれか、もしくは複数に障害が起こると、バランス能力や体力、移動能力が衰えだし、やがて立ったり歩いたりなどの日常生活にまで支障をきたすため、適切な予防と対処が必要になります。

高齢化社会を迎えている日本では、男女の平均寿命は遂に80歳にまで到達し、平均寿命の増加に伴い運動器の障害により介護や支援が必要となる高齢者の方が増加しています。

現在ロコモティブシンドロームと呼ばれる人口は、予備軍も含めると4,700万人もいると言われます。

ロコモティブシンドロームの症状を自宅でチェック

以下の項目に一つでも当てはまるようなら注意が必要です。自宅でもOKなので予防トレーニングを開始して運動器の衰えを防ぎましょう。

屋内でつまずくことが多い

  • よく足を滑らせる
  • 片足立ちで靴下がはけない
  • 家事で息があがりやすく、つらく感じる
  • 15分以上の散歩または歩き続けることが苦痛
  • 横断歩道を青信号の間に渡り切れない
  • 手すりなしで階段を上がれない

また、自宅にある家具を使って簡単なテストを実施することが出来ます。

自宅の椅子やソファー(高さ40cm程度)に腰掛け、手や反動を使わずに片足だけで立つことは出来ますか?

もしくは、お風呂の椅子やちょっとした台(高さ20cn程度)に同じように腰掛け、両足で踏ん張って立ち上がることが出来るかをチェックしてみてください。

ロコモを予防!今すぐ実践トレーニング

ロコモティブシンドロームの原因が加齢による運動器の衰えだけと思われがちですが、日々の運動不足や極端な食生活の乱れも大きく影響します。

少しの意識で予防が可能となるので、コツコツ積み重ねることが大事です。

〇食生活の改善

生活習慣病や過体重の人では、腰や膝にかかる負担が大きくなります。

また、自己流のダイエットなどによる極端な食事制限によって低栄養な生活を長く続けていると、筋肉や臓器を構成する必要な栄養素が十分に確保できず、結果として骨密度や筋肉量の低下を招きます。

なるべく主菜と副菜を摂るようにし、たんぱく質・脂質・炭水化物をバランスよく摂ることを意識してください。

〇適度な運動

運動器の衰えの中でも特に下半身の筋肉が大きく関わるため、自宅などでも出来る簡単なスクワットが効果的でしょう。

  1. 自宅にある椅子やソファー(高さ40cm程度)に浅めに座る
  2. そこから手を使わずにゆっくり立ち上げる(無理な場合は手をついてOK)
  3. もう一度①の状態になるようにゆっくり座る
  4. これらを10回~15回繰り返す

おわりに

本日は高齢化社会に潜むロコモティブシンドロームについて詳しくご紹介しました。

今は何ともなくても、骨折や怪我を機に一気に進行するのがロコモです。

万が一の時に備えて、今のうちから早めの予防が大事になりますよ!